SIGNAL 2023: TwilioのCustomerAIのビジョンと製品の発表

August 23, 2023
執筆者
Joyce Kim
Twilion

AI。

今、誰もが話題にし、新たな活用方法を日々模索しています。

しかし、AIにより顧客エンゲージメントの未来はどうなるのでしょうか?AIを使用して顧客関係を深める場合、ブランドは何を念頭に置く必要があるのでしょうか?

TwilioのCustomerAIテクノロジーの紹介

SIGNAL 2023では、TwilioはCustomerAIを紹介しました。CustomerAIとは、Twilioの全製品に組み込まれた機能セットです。Twilioの顧客エンゲージメントプラットフォームを流れていくリアルタイムの顧客データフローに、大規模言語モデル(LLM)の機能を活用します。CustomerAIを活用することで、顧客の声に真摯に耳を傾け、チャネル間で顧客が送ってくるシグナルを解釈し、一人ひとりに合わせてパーソナライズされた体験を通して、行動を促すことができます。

CustomerAIでは、まず顧客を認知できるようにします。顧客の様子を見聞きし、顧客が何を求めているのかを判断できるように情報を要約します。

次に、その認知を活用することで、顧客を理解することを支援します。Twilioが提供するツールは、データをすべて総合し、一人ひとりに合わせてパーソナライズされた顧客エンゲージメントを促進するインサイトの発見を支援します。

その後さらに、インサイトを活用し、適切なタイミング、適切な場所、適切なチャネルで、個々の顧客に対応できるよう支援します。これが、顧客のあらゆる行動に基づいて体験を真にパーソナライズするための鍵です。

SIGNALでは、こうした作業すべてを連動させて、顧客エンゲージメントのフライホイールになる方法について説明するとともに、お客様がこの好循環を実現するための新機能も発表しました。

Twilio customer engagement flywheel

では、CustomerAIが実際にどのようなものかを、フライホイールの各段階について説明し、またどのようにして加速できるのかについて説明しましょう。

CustomerAIで顧客の行動を認知

AIの質はデータ次第であり、そのデータが整理されていない可能性があります。それを統合し、組織全体で理解しやすくしなければ役に立ちません。

顧客ジャーニーの行動のどのようなものもすべて、認知し、理解するためには、適切なデータを適切な方法で活用できる必要があります。

これが、Twilio Segmentの構成可能な顧客データプラットフォーム(CDP)を支える推進力となるビジョンです。それは、Webサイトからイベントを追加するなどの特定のタスクにも、ジャーニー全体の調整にも役立ちます。その際、どこから始めるか、データをSaaS製品からデータウェアハウスに取り込むか、それともリバースETLを使用して既存のデータを活用するか、を選択できます。そうすることで、より迅速かつ効率的に目標を達成することができます。

4年連続でIDCにより世界市場シェアNo.1のCDPとされたSegmentは、1つのゴールデンプロフィールにすべてのデータを統合し、データの複雑さを軽減または排除し、データを容易に利用できるようブランドを支援します。また、Twilioのゼロコピーアーキテクチャ(間もなくパイロット版をリリース予定)により、データをデータウェアハウスから移動したり、コピーを作成したりする必要もなくなります。これで、セグメンテーション、オーディエンス構築、パーソナライズなどの目的にかかわらず、クリック1つで直接クエリを実行し、データを使用できるようになります。

Twilio's zero copy architecture

Segmentは現在、SegmentのB2B Edition with Linked Profiles(通常、数か月以内に利用可能)でゴールデンプロフィールを拡大中です。これにより、ブランドは個々のユーザーと他者との関係を把握できるようになります。ユーザーは、ビジネスのどのような部署から入手したどのような顧客情報であっても、プロフィールに関連付け、個人を超えて複数ユーザーのアカウントや家族などのモデル化までできます。

Segment’s B2B Edition with Linked Profiles

Twilioが取り組んでいるデータ処理はそれだけではありません。音声も、ずっと課題でした。音声データは構造化されておらず、分析が難しいからです。しかし、音声は依然として重要なカスタマーサービスチャネルであり、すべての通話が膨大な量のデータを保持しています。TwilioVoice Intelligence(パブリックベータ版に新たに搭載)は、会話音声認識を導入してインサイトをインテリジェントに抽出する、文字起こし・言語演算子ツールを使用して、音声データを構造化します。

Twilio’s Voice Intelligence

CustomerAIで顧客を理解

包括的なデータを上手に活用するには、より深く理解する必要があります。Twilioは、ブランドがそれを実現するためのツールに投資を続けています。

すでに実施した大きな投資の1つは、SegmentのCustomerAI Predictions(現在、一般に利用可能)です。予測モデルは必ずしも新しいものではありませんが、CDPでネイティブに実行できることが重要です。

CustomerAI Predictions in Segment

それこそまさにSegmentで実行できることです。それにより、エンゲージメントの予測が簡単にきるようになります。必要なことは、何を予測したいのかを知ることだけです。それは顧客が購入する日かもしれないし、解約しそうな日かもしれません。残りはSegmentが行います。そのデータを使用して、SMSテキストメッセージにオファーを入れ、いつ顧客に送信すれば、来店を促すことができるかを計画できます。

また、顧客から質問や懸念事項を示されたときには、顧客を理解していることを示すことも必要です。そのため、Twilio FlexコンタクトセンターGenAI Agent Assist(今後数か月以内にプライベートベータ版に搭載)でさらに強力なものにします。

Google Cloudと提携しているため、Flexのお客様はGenAI Agent Assistを導入し、以下の作業に活用できます。

  • オペレーターへの推奨事項を生成する
  • 特定の顧客とのやり取りの際に、顧客が取るべき「次善策」をカスタマイズする
  • 通話終了時にAIにより迅速に生成された要約を受け取る

さらに、Flex Unify(近日、パブリックベータ版に搭載予定)は、Segmentの豊富な顧客プロフィールデータをオペレーターにリアルタイムでネイティブに公開します。これは、オペレーターがリアルタイムの購入データや返品データ、クリックストリームアクティビティなど、顧客に関する豊富な詳細情報をすべて確認するために役立ち、それに応じて会話を調整できるため、コンタクトセンターは顧客の生涯価値を高め、販売コンバージョンを向上できます。

CustomerAIでパーソナライゼーションを通じて顧客の行動を促進

顧客の行動に弾みをつけることができるかどうかは、成果、アクション、インサイトの3つの機能に応じて決まります。

顧客がメッセージを受信または確認していなければ、顧客を惹きつけることはできません。そのため、Twilioでは、次のようなトラフィック最適化エンジン機能を使用して、配信可能性に特に配慮しています。

  • リアルタイムのルーティング: 現在、一般に利用可能。特許取得済みのアルゴリズムを使用してトラフィックを最適化します。
  • 市場スループット: 現在、パブリックベータ版で利用可能。国ごとのレート制限を送信者タイプごとに設定することにより、グローバル配信のオーバーヘッドを削減します。
  • マルチテナンシー: 現在、プライベートベータ版で利用可能。チームまたはISVの顧客間でトラフィックスループットを公平に割り当てることができます。
  • トラフィックシェーピング: 現在、プライベートベータ版で利用可能。送信者、宛先国、レイテンシー耐性などに基づいてメッセージごとに容量を動的に管理します。 
  • Insights: 現在、プライベートベータ版で利用可能。メッセージの配信可能性、容量割り当て、キューイングに関するリアルタイムのレポートをすぐに利用できます。

通話、テキスト、メールを受信するだけでは、まだ道半ばです。各タッチポイントの関連性を高め、すべてのジャーニーを一貫性のあるものにすることが、行動を促す鍵です。それは困難で時間がかかる可能性があると考えたため、Twilioはプロセスを簡素化するツールに投資してきました。

CustomerAI Generative Journeys(2024年にパブリックベータ版に搭載)は、Twilio Engageにより顧客ジャーニービルダーを強化します。マーケティングチームは、よりスマートなオーディエンス、コンテンツ、キャンペーンを構築しやすくなります。希望するマーケティング対象について説明するだけで、残りはEngageが行います。

CustomerAI Generative Journeys

CustomerAI Generative Email(2024年にパブリックベータ版に搭載)では、目標に基づいて完璧なメールの下書きを作成することもできます。簡単なテキストプロンプトを入力するだけで、アイデアが数秒でHTMLに変換されます。

CustomerAI Generative Email

顧客にリーチすることは重要ですが、あらゆるコミュニケーションで信頼を築くことは、行動を促すために不可欠です。私たちは皆、未知の送信者からスパム電話や迷惑メールを受けたことがあります。それが愛用しているブランドではないと思われる場合、それに関心を持つ可能性は低くなります。Trusted Communicationsでは、ブランドはBranded Calling(現在、プライベートベータ版で利用可能)などの機能を活用できます。本来、スパムとマークされるかスクリーニングされてきた通話でも、ブランドのロゴがポップアップして、エンドユーザーには安全だと分かるため、出てもらえます。

信頼は双方向のものであり、不正なアカウントにお金を使いたいと思う企業はありません。Twilio Verifyでは、企業は単一のAPIを使用して話し相手を把握することができます。Twilio Verify Fraud Guard(現在、一般に利用可能)は、機械学習を使用してブランドをSMSポンピング攻撃からプロアクティブに保護することで、この目標をさらに推進します。この保護レイヤーは、すべての新しいVerifyの顧客向けに、またあらゆる検証で、追加設定なしで使用できるようになりました。 

コミュニケーションでは、配信可能性や行動だけでなく、新しいデータを取り込み、顧客体験の継続的な向上に役立てる必要があります。そこで、Perception Engine(現在、プレリリース版で利用可能)の出番です。これにより、住所、好み、リクエストなど、チャネル間での会話の最も重要な詳細情報を顧客のゴールデンプロフィールに追加できます。機械学習モデルをトレーニングする必要はありません。これで、関連性がより高く、タイムリーで魅力的なコミュニケーションを実現でき、それをお客様が読み、行動する可能性が高くなります。

SIGNALでのこれらの発表について、皆様にもお楽しみいただければ幸いです。TwilioとCustomerAIの可能性を論ずる素晴らしい基調講演や分科会セッションをお見逃しなく。SIGNALプラットフォームでは、オンデマンドで無料ご視聴いただけます。

詳しくお知りになりたい場合は、それぞれの発表や機能の詳細については、次のブログ記事をご覧ください。