IVR (自動音声応答) とは

February 19, 2021
執筆者
レビュー担当者

IVRExplainedJP

この記事はBrooke Isaacsこちらで公開した記事(英語)を日本語化したものです。

多くの人にとって、コンタクトセンターに電話をかけることは、長い行列やイライラする待ち時間を考えると嫌な経験です。IVR(自動音声応答)のテクノロジーはそのような不満を解消し、電話をかけてきた人に合理的でパーソナライズされた体験を提供します。

かつての電話交換機や手動オペレーターはもういません。AI、自動化されたメニュー、音声認識などが新しい標準となり、企業はコストを削減しながら、電話をかけてきた人にスムーズな体験を提供することができるようになりました。コンタクトセンターは、もはや悪い評判を立てる必要はなく、本来の目的である情報収集の資源、お困りごと解決の資源となり得るのです。

IVR(自動音声応答)は間違いなく画期的な技術です。本ブログでは、その概要について説明します。

IVRとは?

IVRとは、タッチトーン入力や発話による応答に基づき電話システムが通話の意図を特定し、最適なオペレーターに通話を割り当てる(ルーティングする)ための技術です。つまり着信通話は、顧客が自動化されたメニューを辿るなかで分類・グループ化され、有人オペレーターに接続されるという訳です。

従来コールセンターでは、かかってきた電話を手動でルーティングし、冒頭からオペレーターへ接続しようとしており、結果として長い待ち時間が発生し、顧客や企業をイライラさせる原因になっていました。IVRシステムはこの問題を解消するための方策として、従来のスイッチボードオペレーター*という存在をなくし、顧客が必要な情報を得るための前段階プロセスを通してお客様自身を適切なリソースへと誘導することを目的としています。(* 日本語編集上の補足: イメージできないと思いますが、このような光景を指しています。)

IVRの動作原理

IVRのランタイム部分は、既存の物理的な電話システムとVoIP技術を組み合わせて通話ルーティングを構築することで機能します。一方で顧客が辿るフロー側はIVRのデザインツールによって設計され、必要に応じて適切な部署や有人オペレーターに通話を誘導する、データベースに対してデータ参照を行いその後の条件分岐を行うなど、さまざまなメニューの構築が可能です。

例えば、寒波の影響でアパートの配管が凍結し、不動産管理会社に連絡する必要があったとします。このような場合、運用保守のホットラインはIVRを利用して問題の優先順位をつけ、できるだけ早く必要なサポートを提供できるようにします。電話をかけると、その保守作業の問題が緊急かどうかを1または2をダイヤルして選択するよう指示されます。緊急でない場合は、連絡先と問題を留守番電話に残すよう指示されますが、緊急の場合は、すぐに管理会社の有人オペレーターにつながるようになっています。このIVRシステムはシンプルですが、保守作業の依頼を整理し、良好な応答時間を維持する上で大きな違いを生み出します。

これら自動化されたIVRメニューは、通常、音声認識ソフトウェアまたはタッチトーンキーパッドを使用して顧客と情報のやり取りを行います。またIVRシステムは、これらメニューからオペレーターへ通話転送を行う際に、ACD(Automated Call Distribution)ソフトウェアと組み合わされる形態がほとんどです。

IVRのメリット

IVRシステムはシームレスなルーティングインフラを提供し、必要なリソース(有人オペレーターなど)に効率的に接続することで、顧客体験を大幅に向上させます。電話が素早くつながるので、企業と顧客の貴重な時間を節約し、両者の関係を改善することができます。

優れた費用対効果

ビジネス面では、うまく機能するIVRシステムはコールセンターの秘密兵器となり得ます。IVRシステムは(従来型の即座にオペレーターにつなごうとするシステムよりも)大幅にコストを削減し、コンタクトセンターの生産性を向上させることができ、IVRが利用される環境では通話あたり11ドルの節約になるといったデータも存在します。またIVRによる自動化により、営業部門により早く適格なリードを届けることができるため、リードコンバージョンの向上にもつながります。

拡張性と管理のしやすさ

IVR対応のコンタクトセンターは、従来のコールセンターのような物理的な制約がなく、容易に拡張することができます。総務部門や事業部門の担当者でも設計できるツールで構成されており、プログラムを書く開発者は多くの場合不要です。そのようなツールの一例であるTwilio Studioはドラッグ&ドロップベースの強力なビジュアルツールであり、コーディング不要で、IVRシステムにおいてカスタムワークフローやプロセスを作成することができます。(以下画面キャプチャを参照。)

TwStudioJP

分析データへのアクセス

IVRのようなソフトウェアベースのソリューションは、CSAT(顧客満足度)から電話放棄率やサービスレベルまで、あらゆるデータや統計指標を追跡する機能も備えています。これらの指標は、コンタクトセンター全体、業務グループ、オペレーターの稼働と成果を測定する上で非常に重要です。またこのデータは、顧客とのやり取りごとにその文脈情報を提供し、オペレーターが通話に接続された瞬間から適切な初動対応を取ることを可能にします。

お客様の真のニーズに応える

最新のIVRシステムは、「カスタマーサービスは1を押してください」と電話をかける人を誘導する以上のことができます。IVRは、顧客が探しているリソースを迅速かつ簡単に見つけることができるようにする必要があります。注文や処方箋の状況といった単純な情報を確認するのに長時間待たされるといった体験は過去のことであり、新しい部署に転送されるためだけに法外に長い行列で待つことは、もはやコールセンター環境における必要悪ではありません。今後のIVRシステムはこれまで以上に革新的で、企業が今日直面するさまざまな問題に対して柔軟なソリューションを提供します。

パンデミック対策として、開発者のAmber CaseとBen Greensteinは、旅行ニーズを満たすために自分で休暇を選択できるIVRソリューションを開発しました(関連ブログ(英語))。IVRのテレフォンツリーモデルを利用することで、電話をかけてきた人に没入感のある想像上の体験をさせることができたのです。(架空の)高速道路の途中で降車し、対応するメニューの番号をダイヤルすることで、電話をかけた側は行き先を一歩一歩選択することができます。Twilio CodeExchangeで彼らのプロジェクトをチェックし、どのように実現したかをぜひご覧ください。

IVR 〜 Twilioであれば..

最新の(あるいは優れた)IVRシステムは、構築、展開、拡張、反復が容易であるべきです。TwilioのIVR APIであれば、カスタムワークフローとソリューションを構築し、できるだけ早くサービスインさせることが可能です。IVRを初期構築した後、必要なときにいつでも微調整や更新を行えた方がいいですよね!

技術に詳しいかどうかに関わらず、インテリジェントなIVRソリューションの構築に障壁があってはならないとTwilioでは考えています。Twilio Studioのドラッグ&ドロップのインターフェースがあればコードを書くことなくIVRを構築することができ、コードを少し書く必要がある場合でも、Twilio CodeExchangeでサンプルコードを提供していますので、参考にすることができると思います。

IVRの始め方

IVRのテレフォンツリー構造、通話意図の特定、録音システムの構築について、詳細なチュートリアルをプログラミング言語毎に説明するドキュメントサイトが存在します。

  • テレフォンツリーを構築するには、こちらのチュートリアルをご確認ください。(6つのプログラミング言語でご説明)
  • 通話を選別し録音するシステムを構築するには、こちらのチュートリアルをご確認ください。(5つのプログラミング言語でご説明)

テレフォニーやAPIのニーズに関係なく、戸惑う部分が出てきたら遠慮なくお問い合わせください。

コミュニケーションの未来を創造しましょう!