顧客エンゲージメント現状分析2022レポート〜製品担当リーダーにとってのハイライト

June 14, 2022
執筆者
レビュー担当者

SOCER22ProdLeaderJP

この記事はAmy Higginsこちらで公開した記事(英語)を日本語化したものです。

2020年を境に、顧客エンゲージメントは大きく様変わりしました。ここ2年間の出来事により、顧客の企業との関わり方が一変しています。その影響を直接的に受けた企業は、革新的なデジタルエンゲージメントツールに投資し、その投資に十分見合うだけの収益をあげています。

一方、ここ2年間で急速に進展したデジタル変革は、製品・エンジニアリング担当リーダーにさまざまな課題を突きつけています。これらのリーダーは、顧客の需要に応えるために、新規テクノロジーの統合と導入を急ピッチで進めました。その結果、セキュリティ体制が拡張のスピードに追いついていないのではないかとの懸念も多数生じています。

デジタルファースト戦略に基づく先進的な顧客エンゲージメントを実現するため、製品・エンジニアリング担当リーダーには、投資家の期待や規制の変化に対応できる柔軟性と、未知の領域に挑む大胆さが求められます。

たとえ強力な戦略を採用していても、イノベーションで後れを取ると時代からは取り残されてしまいます。だからこそ、顧客のトレンドに目を向けて、将来の取り組みの妨げとなり得る障壁に備えることが重要なのです。

"製品・エンジニアリング担当リーダーには、投資家の期待や規制の変化に対応できる柔軟性と、未知の領域に挑む大胆さが求められます。”

Twilioの顧客エンゲージメント現状分析レポート(2022年)では、世界中の3,400社以上のB2C企業と4,500人以上の消費者を対象に、デジタルファースト戦略が企業にもたらすメリットと、将来のトレンドについて詳細に調査しました。

デジタル顧客エンゲージメント戦略を採用している企業では、年間収益成長率が平均70%に達するなど、こうした戦略の将来性に期待がもてる調査結果が出ています。しかし、デジタルエンゲージメントを通じて収益を継続的に増加させるためには、新たな問題点と、その問題点が戦略に及ぼす影響に留意しなければなりません。

本ブログシリーズの第1回目の記事では、以下の分野の調査結果について考察しました。

今回のブログ記事では、製品・エンジニアリング担当リーダーにとっての顧客エンゲージメントの現状について考察し、デジタルエンゲージメント戦略をさらに強化するための機会について見ていきます。

デジタルエンゲージメントの台頭とその限界

パンデミックの発生により、デジタルツールの使用に拍車がかかりました。調査によると、この事態の急変により、B2C企業のデジタル変革のペースは平均で7年近く前倒しになっています。このうちの17%の企業は、デジタル変革を最大10~14年前倒しで進めていると回答しています。

製品・エンジニアリング担当者は、利便性と迅速性に優れた消費者中心の機能の開発に継続的に取り組んでいますが、それをはるかに上回るペースでデジタルエンゲージメントが急増しています。

すでに、B2C企業の顧客エンゲージメントの約53%がデジタルプラットフォーム上で行われており、この数字は今後3年間でさらに21%増加する見込みです。

一方、当社の調査によると、消費者の多くがデジタル疲れに悩まされています。デジタル疲れとは、ストレスのたまる顧客体験に頻繁に遭遇し、消耗してしまうことです。世界の消費者の36%が、過去30日以内にデジタル疲れを感じたことがあると回答しています。実際、若年層ほどデジタル疲れを感じる人が多いとのデータもあります。

つまり、デジタルエンゲージメントの増加が、必ずしも顧客満足度の向上につながるとは限らないということです。製品・エンジニアリング担当リーダーが、このままデジタルファースト路線を継続したいと考える場合は、あらゆるタッチポイントで固有の設計・配備展開を行い、よく分からないやり取りや面倒なやり取りを顧客に強いることのない、エンドツーエンドの顧客体験を構築しなければなりません。

"世界の消費者の36%が、過去30日以内にデジタル疲れを感じたことがあると回答" - Twilio 顧客エンゲージメント現状分析レポート 2022年

顧客体験には改善の余地がある

製品・エンジニアリング担当リーダーにとって、最も強力な武器となるのはパーソナライズです。ソリューションに何を求めるのか、顧客の側が常に理解しているとは限りません。そのため、顧客は各自のニーズに合わせてパーソナライズされた製品を好みます。

調査によると、合計すると98%の企業がパーソナライズは顧客ロイヤルティを高めると考え、83%の消費者もこれに同意しています。

パーソナライズのためには、顧客のニーズと好みを真に理解し、その情報に基づいて卓越した体験(ロイヤルティプログラム、的確な製品の推奨など)を構築しなければなりません。

ロイヤルティを高めるにはパーソナライズが重要であると企業も消費者も考えています。しかし、その取り組みがどの程度の結果を残しているのかについては、両者で意見が分かれています。B2C企業の34%が顧客エンゲージメントを常にパーソナライズしていると回答しているのに対して、常にパーソナライズされていると回答した消費者は11%にとどまりました。

製品・エンジニアリング担当リーダーは、タッチポイントをパーソナライズするための機会をさらに特定し、顧客固有のニーズ、好み、購買行動に対応する必要があります。

ファーストパーティーデータへの移行は不可避である

製品・エンジニアリング担当リーダーが直面している顧客エンゲージメントに関するトレンドの1つが、ファーストパーティーデータへの移行です。

(日本語編集上の補足: ファーストパーティーデータはサードパーティーデータとの対比で語られることが多いです。この辺りのトピックについては別のブログ(英語版日本語版(準備中))で説明されていますが、簡単に言えば、サードパーティーデータとは、通常、顧客と直接的な関係を持たない(貴社以外の)第三者により収集されたデータのことであるのに対して、ファーストパーティーデータとは、貴社が自社のチャネルで顧客から直接収集し、保有するデータのことで、その一例は購入履歴データです。)

SafariとFirefoxはすでにサードパーティーcookieのサポートを廃止しており、Google Chromeでも2023年に廃止が予定されています。企業は、顧客データにサードパーティーcookieを使用できなくなります。(日本語編集上の補足: Googleは2022年7月に行程の見直しを表明しましたので、2024年以降の「廃止」となりそうです。)

当社の調査によると、すべての企業がこの移行への備えができているわけではありません。移行が間近に迫っているにもかかわらず、B2C企業の半数以上は準備が不十分です。

  • 45%の企業は、サードパーティーcookieから移行する準備が完全にできていると回答。
  • 51%の企業が、cookieの廃止に対してある程度準備ができていると回答。
  • 4%の企業は、cookieの廃止に対してまったく準備ができていないと回答。

顧客が望む、高度にパーソナライズされた体験を構築するためには、ファーストパーティーデータへの移行に製品・エンジニアリング担当リーダーが可及的速やかに対応しなければなりません。未知の領域に足を踏み入れることにはリスクが伴いますが、これはすべての企業が背負うことになるリスクなのです。

パンデミックがデジタル変革を加速させたのと同様に、ファーストパーティーデータへの移行がイノベーションを加速させ、優れた顧客体験の構築につながり、ブランドに対するロイヤルティと信頼を深める機会となる可能性があります

顧客エンゲージメントの現状に関する詳細分析

顧客エンゲージメントのトレンドが将来の製品やエンジニアリングに与える影響については、Twilio顧客エンゲージメント現状分析(2022年)の全文をダウンロードしてご覧ください。

Amy Higginsは、データに対して格別の熱意を持ち、受賞経験も有する戦略的コンテンツマーケティングリーダーで、優秀なコンテンツマーケティング、コミュニティ、インフルエンサー、ソーシャルチームを10年以上にわたって率いています。購買ライフサイクル全体を通じて、顧客を引き付けて関係性を構築し、購買行動を促し、適切な情報を提供する戦略的アプローチの構築に情熱を燃やしています。プライベートでは、アクセサリー作り、登山、ダイビングなどを趣味としています。Twitter と LinkedInからご連絡ください。