顧客エンゲージメント現状分析2022レポート〜顧客体験(CX)担当にとってのハイライト
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デジタル顧客エンゲージメントに投資した企業は、トップラインの収益が平均70%増加しました。
これは、Twilioが世界中のB2C企業3,450社と消費者4,500人を対象に実施した、顧客エンゲージメントの現状を把握するための調査に基づくデータの一部です。
しかし、将来的にさらに大きなリターンが期待できるにもかかわらず、主要な意思決定者がその兆候を読み取れなければ、成長の阻害要因となり得る重要な領域も浮き彫りになりました。
この記事では、顧客体験と顧客サービスの領域における消費者エンゲージメントの現状について、以下の視点から振り返ります。
以下、細かく見ていきましょう。
デジタル世界における顧客体験
顧客は、迅速で、パーソナライズされた、シンプルな購買体験を望んでいます。複数のチャネルでコミュニケーションを拡大し、サードパーティーデータを利用してメッセージをパーソナライズすることで、世界中の企業が消費者のためにテーラーメイドの体験を実現することができるようになりました。
しかし、今回の調査では、一部の企業の顧客体験に対する認識と、消費者から報告された実際の体験との間にギャップがあり、改善の機会となりうる領域も示されました。
以下は、認識が一致していない部分に関して最も深い洞察を与えた3つの領域と、顧客体験と顧客サポートの部門がギャップを埋めるためにどのように軌道修正すればよいかを示しています。これらの重要なデータを追跡することで、企業は競合他社に先駆けて最先端の機会をつかむことができる可能性が高まります。
顧客はデジタル疲れを経験している
顧客エンゲージメント現状分析レポートによると、パンデミックによって企業内のデジタル変革が平均7年近く加速したと言います。Twilioでは、過去3年間だけでお客様企業とエンドユーザー間のデジタルインタラクションが3倍になりました。しかし、このようなデジタルエンゲージメントの猛威は、収益に直結するもののリスクもはらんでいます。多くの消費者がタッチポイントの多さに圧倒され、また質の低いインタラクションに不満を感じていると報告しています。
消費者調査の回答者の半数近くがデジタル疲れを感じており、その主な要因として、顧客サポート面のフラストレーションが挙げられています。サポート部門がこのような不満を放置しておくと、深刻な事態を招きかねません。
今回の調査では、以下が明らかになりました。
- 56%の消費者が、企業とのやりとりで好ましくないものが一度でもあればその企業との関係を終わらせると回答しています。
- そのうち22%は、サポート担当者につながらないことを離脱の理由として挙げています。
- 15%の人が、離脱の理由として担当者間で何度も転送があったことを挙げています。
- 18%の回答者が、企業の顧客サポートとやり取りするくらいなら、インターネットを1日使わない方がましだと回答しています。
この結果は、顧客体験や顧客サポート部門にとってどのような意味を持つのでしょうか。それは、これらの部門が「ハードワークではなく、スマートに仕事をする」という格言を受け入れなければならないことを意味しています。デジタルインタラクションで消費者を圧倒することは、消費者のブランドに対する認識を損なう可能性があります。企業は単にエンゲージメントの機会を増やすのではなく、すでにあるタッチポイントを最適化し、サポート担当に顧客とのやり取りを俯瞰できるツールを提供し、デジタル疲れで消費者を遠ざけることがないようにする必要があります。
デジタル疲れを防ぐ方法のひとつは、消費者の選択力を高めることです。消費者は、ブランドに対してサポートを求める際に、いつ、どこで、どのように対応してもらうかを柔軟に選択したいと考えています。企業は、幅広く柔軟なサポートチャネルを構築することで消費者をデジタル疲れから守り、将来的にトレンドが変化しても、消費者の生活に最も便利なときに消費者の期待に応えることができるのです。
顧客はパーソナライゼーションの向上を望んでいる
購入者の体験をパーソナライズすることに関して、今回の調査は、企業が長い間理解してきたことを明らかにしました。消費者は、一般的で画一的な体験よりも、自分のニーズに合ったパーソナライズされたコミュニケーションやインタラクションを好みます。その結果、ブランドからパーソナライズされた体験を得られない顧客は、自分の好みをよりよく理解してくれるブランドへと推移することがわかりました。
今回の調査では、消費者回答者の61%が、個人のニーズや期待を考慮しないブランドとの取引をやめると回答しています。しかし、多くの企業が高いレベルのパーソナライゼーションを提供するために最善の努力をしているにもかかわらず、今回の調査では、企業の努力に対する認識と顧客の受け止め方に大きなギャップがあることが明らかになりました。
B2C企業の75%が「パーソナライズされた良い体験、または優れた体験を提供している」と回答したにもかかわらず、同意した消費者は52%に留まります。この調査により消費者は、サードパーティデータから得られる氏名を名前の変数の箇所に置き換える単純な戦術よりも、さらに踏み込んだ形での有意義で真のエンゲージメントに反応することが明らかになりました。今後、ファーストパーティデータ(リンク先は英語ブログ)は重要な役割を果たすようになり、例えば、より直接的なブランドとのインタラクションを通じて、顧客が進んで自社に提供する情報の活用にシフトしていく中で、より高度なパーソナライゼーションを提供するようになるでしょう。このような相互作用によって、顧客の特徴をより深く理解し、顧客の趣味や嗜好に合わせた体験を提供できるようになります。
データに関して、消費者の信頼は薄れている
データに関して言えば、顧客は、自分の情報に関して企業が適切な保護と透明性を提供する能力に対して不信感を抱いています。今回の調査でも、消費者と企業の認識の間に大きな隔たりがあることが明らかになりました。
- B2C企業の95%は、消費者がデータ保護について自社を信頼していると考えているが、そのレベルの信頼を感じていると回答した消費者はわずか65%でした。
- 71%の消費者がデータプライバシーの強化を望んでいるにもかかわらず、消費者がデータプライバシーの強化を望んでいると考える企業は55%に留まりました。
企業と消費者のデータプライバシーに対する考え方の相違は、今後の成長にとって重要な分岐点となることを示唆しています。3人に1人以上の消費者が、自分のプライバシーと透明性の要件が満たされていないことに気づいた後、そのブランドからのお知らせの購読を中止したり、購入を止めたりしたと報告しています。その中には、否定的なレビューを投稿したり、友人や家族にそのブランドから離れるようアドバイスしたり、あるいは規制当局にそのブランドを報告したりした人もいます。
過去に学び、未来に目を向ける
ここ数年、消費者に迅速かつパーソナライズされたケアを提供するために、顧客体験とサポートの革新的な取り組みが行われています。しかし、すべてのイノベーションがそうであるように、調査結果の中に阻害要因が含まれることに気づいたときに、企業は戦略を転換する準備をしなければなりません。
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Amyは、コンテンツマーケティング、コミュニティ、インフルエンサー、ソーシャルチームなどのマネジメントに10年以上の経験を持ち、戦略的なコンテンツマーケティングを得意とします。趣味は、ジュエリー作り、ハイキング(特に高い山)、青い海へのダイビングです。連絡先は、Twitter と LinkedIn 。